辨 |
パンノキ属 Artocarpus(波羅蜜 bōluómì 屬)は、熱帯アジアに約50種がある。
パンノキ A. altilis(A.communis, A.incisus;麪包樹 miànbāoshù)
A. chama(A.chaplasha;野樹波羅・恰普拉希麪包果)
A. elasticus 東南アジア産
パラミツ(ナガミパンノキ) A. heterophyllus(波羅蜜・婆羅蜜・木波羅;E.Jack fruit)
A. hypargyreus(白桂木・將軍樹)『雲南の植物Ⅲ』160・『中国本草図録』Ⅸ/4073
コパラミツ A. integer スマトラ・ボルネオ・ニューギニア産
A. lacucha(A.lakoocha;滇樹波羅・野波羅蜜) 『雲南の植物Ⅲ』161
タラップ A. odoratissimus ボルネオ原産、フィリピンで栽培
A. parvus(A.lingnanensis;桂木・白桂木・大葉臙脂)
A. rigidus(猴面果;E.Monkey Jack)
A. styracifolius(二色波羅蜜・紅楓荷)
A. teysmannii スマトラ・ニューギニア産
A. tonkinensis(臙脂 yānzhī) 中国(両広・雲貴)・ベトナム・カンボジア産
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クワ科 Moraceae(桑科)については、クワ科を見よ。 |
訓 |
英名は、その実をパンのように主食にすることから。
和名・漢名(麪包はパン)は、その訳。 |
説 |
マレーシア・ニューギニア・ミクロネシアの原産、広くオセアニアで栽培する。
「パンノキはおそらくマレーシア地域の東部の島で栽培化され、それが品種改良がかさねられながらポリネシア諸島へ原住民航海者がはこんだものとみてまちがいない。その間に種無し品種群のいろいろなバラエティを生んだのだろう。」(中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』) |
誌 |
花托と花被部分に澱粉を含み、食用にする。
「パンノキの果実は生のままではすこし毒性やヤニがあるので、ふつうは石焼きにする。焼きあがるとイモとパンの中間ぐらいの舌ざわりの食物となり、主食としてたくさん食べることが出来る。」(中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』) |
中国(華南)には、A.hypargyraea(白桂木)が自生し、パラミツ A.heterophyllum(木波羅)・A. lingnanensis(桂木)を栽培し、それぞれ食用・薬用・染料用などに利用する。 |